取材で表参道へ。漫画家の末永史さんに、初めてお会いする。
年上の、尊敬する女性に会うのは、独特の緊張感があるけれど、
末永さんはその緊張をあっさり溶かしてくれた。

女同士は、年齢や立場が違えど、一瞬でなにかを共有して、つながれるときがある。

 

「歳をとるのが怖い」と言うと、

「どうして怖いの?」と、言われた。
確かに、どうして怖いんだろう。
女としての魅力が目減りしていくと考えているから、なのだけど、
目の前の末永さんは、のびのびしていて、フレッシュで、美しく、かっこよく、
歳をとるのが怖いなんて、思えない気持ちになってくる。

これを肯定できなくて、なにが女か、と思う。

歳をとることよりも、今直面していることのほうが怖いし、

今目の前にある怖さしか、本当はちゃんと感じられない。
将来に怖いことがあるとすれば、自分が自分でなくなってしまうこと、
何かを諦めて、歪んでしまうことだ。
 

「あなたたち、まだまだ若くてかわいいんだから、

これぞという人がいたらちゃんとつかまえられるから大丈夫よー」
なんて言われて、笑い転げた取材だった。

わたしもそんなふうに、 なんの確証もないような、
でも本当にそう思っていて、人生ってもっと簡単で単純なものだから考えすぎないで素直にやんなさいよ、みたいなかんじのことを、
明るく言って、誰かの気持ちを軽くできるような、

そういうひとになれたらいいと思う。

 

取材で入ったカフェが感じが良かったので、
編集さんが領収書を書いてもらっている間、オレンジピールとチョコチップの入ったスコーンをふたつ持ち帰りにしてもらった。

帰りに、スパイラルマーケットに寄って、ずっと気になっているアクセサリーを見た。

上京して初めてこのお店に来たときは、すべてがまぶしくて、すべてが欲しかった。
このアクセサリーも、たぶんもう三年ぐらい、欲しいなと思ってぼんやり見ているのだけど、
上京したばかりの頃とは違って、これはもう普通に、買える値段ではあるのだと気がついた。

なんとなく、この店にあるものは、見てパッと買うかんじじゃなく、
「あれを買おう。そしてこういうふうに使おう」と、ちゃんと考えて、
丁寧に使うと約束できなければ、買ってはいけないような気がする。
大切に売られているかんじがするから、大切に使いたいと思う。

買おうかな、と思ったけれど、
ネックレスなら、長いほうにするのか、短いほうにするのか、
色違いがあるけどどちらにするのか、
ブレスレットも素敵だけど、揃えて買うのかどうするのか、

さらにアンクレットも出ているのを見つけてしまい、迷いすぎて息切れしそうになってきた。

気持ちを落ち着けようとほかのものを見ていたら、さらに欲しい豆皿と、しょうゆ差しまで見つけてしまった。
もう収拾がつかない。 
ここでの買いものは、いつもこうして挫折する。

 

でも、あのネックレスは、近いうちに手に入れたい。
豆皿も。
しょうゆ差しは、ちょっと保留。