あっさりした香りに飽きてきたので、
お店で違う香水を試しにつけてもらった。
これでもまだ、あっさりしているような気がして、
自分の気持ちが夏から離れていくのを感じた。

東京都現代美術館の「FUTURE BEAUTY」展をみてきた。
まぁ、なんというか、
川久保玲は怪物、ということを実感するためのような展示なのだが、
わたしはそれでも、山本耀司が大好きで、
そのことを実感した。
素晴らしいことと、好きなことは、ちがう。

ソマルタの服は、着てみたらどんな感じがするのだろう。
作品は二点しかなかったけれど(オペラシティのときのほうがたくさんあった)綺麗で、
第二の皮膚をまとうような、その感じが、
原始的で好きだ。

その展示を観てからというもの、
最近はとんとごぶさたしていた、
いいお値段のデザイナーズブランドの服を、ちらっと見に行ったりしてしまい、
ちょっとクレジットカードを出してみようかなんて思ったりしてしまい、
どう考えても、わたしのふだんの生活には少し前衛的でデザインが強すぎるのでは……という服でも、
「とにかく美しい」「素晴らしい」「身にまとってみたい」
という、まぁその、洋服を好きになったひとが最初にやってしまうあのパターンで
欲しくなってしまったりして、
少し困っている。

本当は、今年の秋冬は、
まず靴を買って、ジャケットを探すはずだったのに、
もうぜんぜん、計画なんか、めためたである。
さらに香水が欲しいなんて言い出して、
どうしようもないったらない。

とにかく、試着して、冷静になって考えるしかないのだけど、
試着して気に入ってしまったら……。
あんな芸術品みたいな服に、凡庸な靴やアクセサリーを合わせるわけにもいかないのだろうし、
大変なことになってしまうのは目に見えている。

 

ああ、でも、着てみたい。一度でいいから。