ほんとうに悲しいときは、指先が痛くなる。

寒さで締め付けられるように痛む感じにとても近い。

そういうとき、涙は出ない。

現実を受け入れること、事実を事実と認めることを、心が拒むからだ。

 

涙が出るようになってはじめて、指先に血が通っているのを感じる。

吐き出せるから、また生きていけるのだなと思う。