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やはり信じがたいくらいの時間眠ってしまう。
もともと血圧がすごく低いのだけれど、そのせいだろうか。
自尊心のあるひとは、拒絶ができるんだなと知ったのは、
そんなにむかしのことではなかった。
自分を傷つけないために、関係を拒絶したり、断ったり、
そういうことのできるひとのことを、わたしは以前は、不思議に思っていたし、
自尊心と欲望があれば、迷わず欲望を取っていた。
欲望を取るのは、自分の中では、とても正しいことのように思えたし、
いまでもそういう気持ちはある。
明日死ぬとしたら会いたいな、と思うひとに、なぜいま会ってはいけないのか、
その理由がわからなかった。
軟骨がすり減ってなくなっていくみたいな感じで、
欲望のために心がすり減って、
ぎりぎり、遊びのない状態になってからやっと、
そうして拒絶することの意味を、ぼんやり理解したような気がする。
自尊心のためではなく、
自尊心を獲得するために、
かたちだけ真似て、かたちからなんとかしようとしている。
35歳も過ぎて、なにをいまさら、と思うけれど、
自分は自分以外のものに、一生、なれない。
生まれつき自尊心を持っているひとをうらやんでも、
そのひとになれるわけじゃない。
変えられない部分もあるけれど、
変えられるなら、
可能な限り綺麗なパッチをあててみたい。