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「8月もまだ上旬の、このクソ暑い時期にもう毛皮かよ」
と、伊勢丹の4階あたりで毒づいたのはつい4、5日前の出来事だったのに、
気がついたらツイードのスカートを買っていた。
生地が厚くて、着られるのはたぶん2ヶ月半ほど先のことだろう。
試着している隙にそっと9cmヒールの、どうしてわかったかわたしの足のサイズにぴったりのベージュのヒールを出され、
それをはいて試着室から出ると、脚をほめられ、
9cmヒールの効果だということはわかってはいるのに、
なんとなく自分が良く見える服のように思えて、
すぐに決めて買ってしまった。 

この服が着れる季節になる頃には、
状況がいいほうに変わっているように、
自分の心が、落ち着いているように、
願いを込めるような気持ちでハンガーにかけ、冬物のコーナーにしまった。

女は買いものの言い訳を考える天才だと思うけれど、
服を買っているのではなく、希望を買っているのです。