現在書いているもののまとめです■書籍 『まじめに生きるって損ですか?』(ポット出版/2016年6月27日発売) 愚痴を聞く連載「穴の底でお待ちしています」の書籍化です。おひとりおひとりの方の愚痴が濃く、それに沿ってこちらも全力で言葉を尽くさなくては…

死にたくなる夜のこと

死にたくなる夜というのが、やってくる。たいていはそのたびに、薬を飲んで、寝ようとして、 眠れなかったり、でもほかのことでは気を散らすことができなかったり、 朝日がのぼるまでの時間を、苦しいまま過ごすことになる。「死んでもいいですか?」と、誰…

新訳『風と共に去りぬ』

去年買っていた『風と共に去りぬ』(鴻巣友季子訳/新潮文庫/全5巻)を、旅の行き帰りに読んだ。翻訳ものの苦手なわたしが、全5巻もある本を買ったのは、こんな名作を未読であることを恥だと思う気持ちもあったし、宝塚で舞台版を何度も観ていて、それが大…

贅沢なバッグを買った話

15年前、わたしは今より、建設的な人間だったと思う。 投げやりなところはあったが、未来には、いいことが必ずあると信じていた。 刹那的なところ、退廃的なところが、年々増してゆく。世の中にポジティブな思想がたくさんあふれていて、そうありたいと思う…

鬱病未満の鬱屈とした人生に

春日武彦先生の『鬱屈精神科医、占いにすがる』(太田出版)という本が出た。 春日武彦さんのほかの本を読んだことがない人にとっては「ふうん」という感じのタイトルかもしれないが、 読んだことのある人には、かなり衝撃のタイトルである。「あの、明晰で…

『劇場版テレクラキャノンボール2013』を観た人に勧めたい次の一本

今年の2月、オーディトリウム渋谷での公開を皮切りに、全国津々浦々で連日満員、異例のロングラン上映となっている『劇場版テレクラキャノンボール2013』。この作品の感想で、「AVとは思えないほど面白かった」とか、「AVの枠を超えて面白かった」という類の…

『女の子よ銃を取れ』

5月22日に『女の子よ銃を取れ』(平凡社)という本を出しました。これは、書籍にすることを前提に、webでの連載が始まりました。 始まったのは2012年9月。この日のことを、わたしはよく覚えています。『女子をこじらせて』に続く対談集『だって、女子だもん!…

『かぐや姫の物語』の、女の物語

『かぐや姫の物語』を観た。強い衝撃を受けた。昔話のあらすじそのままでありながら、昔話ではなかった。これは、あきらかに現代を生きる女の話だった。震えた。 思春期を迎える頃に、かぐや姫は生まれ育った山を離れ、都へと連れていかれる。この時点でいく…

新刊『ずっと独身でいるつもり?』発売のお知らせ

マイナビニュースの連載『ずっと独身でいるつもり?』(http://news.mynavi.jp/series/dokushin/menu.html)を、一冊にまとめた本が10月18日に発売になります。 略称は『ズッ独』です。よろしくお願いいたします。表紙の馬子ちゃん(まこちゃん)のイラストは…

CARVENの服のことは、前々からかわいいと思っていた。ただ、ガーリーすぎて自分には似合わないから、かわいいけれど理性を失わずにいられたし、一線を引いた状態でそのかわいさを余裕をもって愛でることができたし、「好きだけど、買わない服」というフォル…

ほんとうに悲しいときは、指先が痛くなる。 寒さで締め付けられるように痛む感じにとても近い。 そういうとき、涙は出ない。 現実を受け入れること、事実を事実と認めることを、心が拒むからだ。 涙が出るようになってはじめて、指先に血が通っているのを感…

もうだいぶ日が経ってしまったんだけど、ペヤンヌマキさんの劇団ブス会*の「女のみち2012」という舞台を観た。これは、6年前の「女のみち」という舞台の続編で、AV女優の、AV撮影中の楽屋で繰り広げられる物語だ。その6年後という設定になっている。6年…

明け方の晴れた空を見ながら聴く山下達郎の音楽がすごすぎて圧倒されてる。希望ってこわいものだったんだなぁ、ないと思うほうがずっと楽だったんだなぁと思いながら、希望のおそろしさに立ち向かう静かな気持ちが芽生えてくるような音楽。うそ、そんなもの…

ほらね、すぐに寒くなったでしょ。この季節は、前の日まで汗だくでも、つぎの日には上着がいるようになるのよ。やっぱり、必要なのはジャケットだったじゃないの。なのに買ったものは、ニットにツイードにウール……しかもワンピースやスカートばかり。そもそ…

「ベルサイユのばら」展に行った。予想以上に原画のボリュームがあって、原画で見る名場面の数々に、ハンカチ握りしめて恥ずかしいくらい泣いた。「ベルばら」の登場人物たちは、みんな誠実に人を愛する。愛するときも、べつのひとへの愛のために他人の愛を…

9月だから、さすがにひまわりの柄の服とかはちょっとね、と思い、夏っぽすぎる服をしまったりしていたら、クーラーをつけた部屋でショートパンツにTシャツというかっこうで、ファーのマフラーを検索しては見るというひどい状況になってしまった。秋冬、とく…

友達のうちでごちそうになった、ディルが入ったサーモンのパテがとてもおいしくて、「これならいくらでも食べられそう」と思ったことを思い出し、レシピを教えてもらって、つくってみた。いま冷蔵庫で固めているところ。わたしはディルが大好きで、ディルの…

取材で水天宮前に行ったついでに、清澄白河のほうのライアン・マッギンレーの個展に行く。(このまえ行ったのは、渋谷ヒカリエのほうの展示)エレベーター降りてすぐ「うわっ」と思った。これはあのロードムービーっぽいシリーズのやつだ、とすぐに気がつい…

やはり信じがたいくらいの時間眠ってしまう。もともと血圧がすごく低いのだけれど、そのせいだろうか。 自尊心のあるひとは、拒絶ができるんだなと知ったのは、そんなにむかしのことではなかった。自分を傷つけないために、関係を拒絶したり、断ったり、そう…

ライアン・マッギンレーの写真で、欲しいのがひとつあった。一生をこの写真とともに暮らす値段だと思うと、安いと思ったけれど、わたしにはやっぱり高くて、ちょっと手が出なかった。いちばん欲しいものも買えず、 わたしはいったい、なにを買っているのだろ…

雷が綺麗で、部屋の灯りを消した。雲が厚いので稲妻は見えないけれど、隙間からフラッシュのような瞬く光が見える。ほとんど絶え間なく、といっていいペース。フラッシュの光よりもイエローが強めで、灯りを消しているのに天井や壁に光が差すのが不思議に思…

死生観についてのインタビュー、後編アップされてました。http://modernfart.jp/2012/08/8790/どうぞよろしく。

まだ寒い時期に、前田隆弘さんにインタビューしてもらった、死生観についての記事の前編がアップされていた。前田さん、どうもありがとう。http://modernfart.jp/2012/08/8761/ 前田さんはとても良い方で、信頼できる方だなぁと思ったのだけど、死生観につい…

なぜだかわからないけれど、 わたしは宇多田ヒカルの音楽を聴いているときだけ、 声をあげて泣くことができる。つらいときは、ある一曲を、 ヘッドフォンで大きな音で、 繰り返し聴く。どうしても希望がほしい気持ちになったら、 『UTADA UNITED 2006』とい…

あっさりした香りに飽きてきたので、お店で違う香水を試しにつけてもらった。これでもまだ、あっさりしているような気がして、自分の気持ちが夏から離れていくのを感じた。東京都現代美術館の「FUTURE BEAUTY」展をみてきた。まぁ、なんというか、川久保玲は…

わたしが勝手に、AV界の三大巨匠だと思っている監督のひとり、 ヘンリー塚本監督に、きょう、取材で初めて会った。 ヘンリーさんは、 「この世の中で、いちばん大切なのはセックス、 この世の中で、いちばんすばらしいものは、惚れた女のおまんこだよ。 好き…

『みんなに好かれようとして、みんなに嫌われる。』という、仲畑貴志の本を、何年もの間、何度も読んでいる。 仲畑貴志が、精神的に参ってしまったときのエピソードがいちばん好きで、そこだけを繰り返し読んでいる。読み返すたびに驚くが、たった2ページの…

「8月もまだ上旬の、このクソ暑い時期にもう毛皮かよ」と、伊勢丹の4階あたりで毒づいたのはつい4、5日前の出来事だったのに、気がついたらツイードのスカートを買っていた。生地が厚くて、着られるのはたぶん2ヶ月半ほど先のことだろう。試着している…

批評や評論について、「愛情がある」「愛情がない」という言葉で語るのは、あまりにも安易で、退屈で、そんなことを言う人のことを、わたしは信用しない。愛情、と、簡単に言うけれど、 ただ「好き」という気持ちを書くのは、愛情じゃない。それは、ただの、…

息の抜けない日が少し続いて、アイスティーとオレンジジュースを買って帰って、グラスに氷を入れて、オレンジティーを作って、ひとくち飲んだ瞬間、「あ、これサンキストのオレンジジュースだった。わたし、トロピカーナじゃないといやなのに」と思って、や…